眼瞼下垂専門サイト。先天性、後天性の症状・原因の解説。診断(アルゴリズム)や手術の案内など。眼瞼下垂のコラムも掲載。
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重症筋無力症
■重症筋無力症
本症の特徴的な臨床像は、骨格筋の筋力が運動反復により低下し(易疲労性)、夕方になると症状が憎悪すること(日内変動) である。主な症状は眼瞼下垂、眼球運動障害による複視などの眼症状、四肢・前頸筋・顔面筋の筋力低下、軟口蓋・咽喉頭筋・舌筋の障害による構音障害、嚥下障害、さらに重症例では呼吸障害となる。特に眼瞼下垂は本症の初発症状の70%、慢性症状の90%占めるとされ、片眼、両眼あるいは両眼に交互に下垂が生じることもある。
合併症としては胸腺腫、甲状腺機能亢進症や全身性エリテマトーデス、関節リウマチなどの膠原病を伴うことがある。
重症筋無力症の有病率は、5.1/100000で、男女比は1:2である。発症年齢は女性で10歳以下と30〜40歳代にピークがある。男性では10歳以下と40〜50歳代にピークがある。胸腺腫合併例は女性20%に対し、男性32%である。遺伝性は無い。
神経筋接合部の後シナプス膜に存在するアセチルコリンレセプター(AChR)に対する自己抗体により神経筋伝達が障害される自己免疫疾患である。本症患者の85%に抗AChR抗体が証明されるが、眼筋型では抗体が陰性のことが多い。抗AChR抗体価と疾患の重症度とは必ずしも相関しない。最近、抗AChR抗体以外に骨格筋やイオンチャンネルに対する抗体の存在が明らかになってきており、特に骨格筋の一部の蛋白質(リアノジン受容体)に対する抗体は胸腺腫合併患者に高い陽性率が示されている。さらに抗AChR抗体陰性症例の70%にmuscle specific tyrosine kinase(MuSK)抗体陽性であるとの報告もあり、病因が多数関与している可能性もある。
診断を確定するには、 (1) エドロホニウム (テンシロン) 試験陽性 (症状軽快)、(2) Harvey-Masland試験陽性 (誘発筋電図によるwaning現象)(3) 血中抗AChR抗体陽性を行う。
治療は、(1) 胸腺腫例は全例、摘出術を施行する (2) 眼筋型はコリンエステラーゼ阻害薬とステロイド療法が第一選択で、眼瞼挙筋や前頭筋に機能が残っている場合は手術も考慮される (3) 全身型は胸腺摘出術、ステロイド療法 (4) 難治例は血漿交換療法、シクロスポリン、アザチオプリン、タクロリムスなどの免疫抑制剤併用などが行われる。
先天性遺伝性の重症筋無力症もある。神経筋接合部の異常ではあるが、免疫異常によるものではないために抗AChR抗体が証明されない。通常、幼少時に筋力低下の増悪・軽快が認められ、比較的予後良好であるが、サブタイプも報告されている。
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